新基準原付

新時代の幕開け！ 新基準原付は125ccまで乗れる？ 導入後の今、知るべき真実

　2025年4月1日、日本のバイク業界に新たな風が吹き込みました。かねてよりその動向が注目されていた「新基準原付」の区分が、ついに正式に導入されたのです。これにより、私たちのバイクライフはどのように変わるのでしょうか？
しかし、このニュースを耳にして「これで原付免許で125ccのバイクに乗れるようになった！」と誤解している方もいらっしゃるかもしれません。今回は、新区分が導入された「今」だからこそ、皆さんに知っていただきたい新基準原付の真実と、その背景について詳しく解説します。

誤解を解く！ 新基準原付は原付免許で125ccまで乗れるのか？

　まず、最も重要な点から明確にお伝えします。2025年4月1日以降も、原付免許で125ccのバイクを運転することはできません。
現在の道路交通法において、原付免許で運転が許可されているのは、引き続き排気量50cc以下の二輪車のみです。排気量125ccのバイクを運転するには、これまで通り小型限定普通二輪免許（AT限定含む）以上の免許が必要となります。
新基準原付の導入は、あくまで「車両の区分」を変更するものであり、「運転免許の区分」を変更するものではありません。この点を混同しないよう、十分にご注意ください。

新基準原付が開発された背景：環境規制の壁

　では、なぜこのような「新基準原付」という新たな区分が生まれたのでしょうか？その背景には、国際的な環境規制、特に「ユーロ5（Euro 5）」という厳格な排出ガス規制の存在があります。
　ユーロ5規制は、二輪車からの排ガスに含まれる有害物質（二酸化炭素、窒素酸化物など）の排出量を大幅に削減することを求めるものです。この基準は非常に厳しく、特に従来の50ccという小排気量の原付でこれをクリアすることは、技術的にも、そしてコスト的にも極めて困難な状況でした。
　具体的には、排ガスを浄化するための高性能な触媒などを搭載しようとすると、車両が大型化し、製造コストも高騰してしまうという問題に直面していました。このままでは、手軽で身近な移動手段として長年親しまれてきた50cc原付が、市場から姿を消す危機に瀕していたのです。
　このような状況を打開するため、国土交通省と経済産業省は、現行の「原付一種（50cc以下）」の区分を、**「排気量125cc以下の二輪車のうち、最高出力が原付一種と同等以下に制限された車両」**として新たに定義する検討を進めてきました。これが、今回導入された「新基準原付」の正体です。

50ccの原付では基準を満たせないのはなぜ？

50ccという小排気量でユーロ5規制をクリアするのが難しい主な理由は以下の通りです。

• 排ガス浄化効率の限界: 排気量が小さいほど、排ガス処理装置（触媒など）を効率的に機能させるのが難しくなります。また、触媒を大型化すると、車両のサイズや重量が増加し、原付の「手軽さ」が損なわれます。
• エンジン設計の制約: 50ccという限られた排気量の中で、厳しい環境性能と、ユーザーが求める走行性能の両立を図るのは非常に困難です。排出ガスをクリーンにするための設計変更が、出力低下や生産コストの増加に直結しやすいのです。

これらの課題を解決し、かつ原付の魅力を維持するためには、ある程度の排気量が必要との判断から、125cc以下の範囲で最高出力を制限するという発想が生まれました。

新基準原付は原付ユーザーも運転できる？

　ここが、多くの原付ユーザーが最も知りたいポイントでしょう。結論から言うと、新基準原付を運転するには、引き続き小型限定普通二輪免許（AT限定含む）が必要となります。
つまり、現在50ccの原付に乗っている方が、新基準原付に乗り換える場合は、**新たに小型限定普通二輪免許を取得しなければなりません。**原付免許のままでは、新基準原付を運転することは認められません。
これは、新基準原付が排気量こそ125ccまで許容されるものの、安全性の確保と、排気量に応じた運転技能の必要性を考慮した結果と言えるでしょう。

新基準原付と現行の原付一種・原付二種の違いは？

新基準原付の導入により、二輪車の区分は以下のようになります。

• 現行の原付一種: 排気量50cc以下。**原付免許で運転可能。**最高速度30km/h、二段階右折義務あり、二人乗り不可。
• 新基準原付: 排気量125cc以下で、最高出力が原付一種と同等以下に制限された車両。**小型限定普通二輪免許以上で運転可能。**交通ルール（最高速度30km/h、二段階右折義務あり、二人乗り不可）は、現行の原付一種に準じます。
• 現行の原付二種: 排気量50cc超125cc以下（新基準原付を除く）。**小型限定普通二輪免許以上で運転可能。**最高速度60km/h、二段階右折義務なし、二人乗り可能。

新基準原付は、環境規制をクリアするために排気量の許容範囲を広げつつも、その性能と交通ルールは、従来の50cc原付の「手軽で身近な移動手段」としての特性を維持することを目指した区分と言えます。